パッシブデザインとは

2021.06.01 tue

自然の力を最大限に活用する

一年を通して快適な暮らしをするために、建物の断熱性能や断熱方法が大事であることは、前回でも解説した通りです。今回はそれに加えて、設計として大事なことを解説したいと思います。

 

それは、「自然の力を最大現に活用すること」です。

 

「自然の力を活用する」か、「自然の力を全く考えない」か、設計の考え方はそれぞれ大きく違います。

建物が密集して空気が悪い都心のビルやマンションのように、室内環境を外部と完全にシャットアウトして、断熱性能と冷暖房のみで快適に生活するという方法もあるかもしれません。

しかし、環境に恵まれた地域で暮らす方にとっては、周辺の自然環境を生かしながら快適に暮らすことが望まれると思います。

ここでは、「パッシブデザイン」と呼ばれる、自然の力をいかに建物と繋げながらプランニングしていく設計の考え方について解説します。

太陽の日差しを生かす

四季のある日本です。まずは、「蒸し暑い夏」と「寒さの厳しい冬」のそれぞれで快適に暮らすことが求められます。その際に、外部環境としてもっとも重要なテーマが「太陽の日差し」をどう考えるかということです。

簡潔にいうと、夏は「できるだけ家の中に日差しを取り入れないこと」が大事になり、冬は「できるだけ家の中に暖かい日差しを取り入れる」という、これらの相反することを考えて設計していくことが重要になります。

夏は、真昼の太陽の角度は高いので、その時に家の中に日差しが入らないようにしなければいけません。具体的にいうと、南面の窓の上に庇やバルコニーなどを配置する工夫が必要となります。

更に、後からでも良いので、断熱ブラインドや葦簀などを利用すると更に効果が得られます。

東面の窓は、気温が上がる前の午前中なので多少日差しが入ってきてもまだ良いですが、西側の窓は、気温が上がった状態で西日がずっと差し込んでくると、とてもキツくなります。なので、西面が開けている場合には、あまり大きな窓は配置しない方が良いでしょう。

 

逆に、冬は太陽の角度が低くなるので、大きな窓を南面に配置すると部屋の奥まで暖かい日差しが入ってきます。蓄熱性の高い無垢材などを床材に利用すると、ずっと温かさを保ってくれます。まさに自然の暖房器具です。

南面に建物がある場合などは、吹き抜けなどを使うことで、2階からの日差しを1階のリビングに取り入れることもできます。吹き抜けは家の中に一体感を持たせる効果もありますが、このようなパッシブデザインのアイテムとしても非常に有効です。

もちろん、真冬は暖房機器を利用するとは思いますが、この暖かい日差しのおかげで省エネ効果も高く、一日中快適に過ごすことができることになります。

植栽を上手に活用する

また、日差しについては、建物の設計だけではなく、植栽も上手に活用すれば大きな効果が得られます。

例えば、「落葉広葉樹」という、広い葉を持ち、夏は葉が茂り冬は落葉するという性質の樹木を南側に植えることをお勧めします。夏はその茂った葉が日差しを遮り、冬は落葉することで家の中まで日差しを通すという、パッシブデザイン的に最適な状態を作ってくれることも是非知っておいてください。

「落葉広葉樹」には、ハナミズキや紅葉などのシンボルツリーとしても良く使われる樹木も多いので、お庭に彩を添える意味でも上手に使っていただくと良いと思います。

風の力を生かす

また、自然の力を利用するという点でもうひとつの大事なことは、「風」をどう生かすかということです。

寒さが厳しい冬は窓を閉めるのであまり関係はありません。真夏もエアコンをかけるのでやはり窓は締め切っていると思います。

 

地域にもよりますが、時期によっては、外の風を家の中にとりいれることで、エアコンを使わなくても十分に快適になる季節があるのではないでしょうか。

また、夏でも、昼間は暑いけれど夜になれば気温が下がって過ごしやすくなる地域もあるでしょう。

そういう場合には、「風通しの良い家」であるか、ということがとても大事です。簡単にいうと、風の入り口と出口がしっかり考えられているかということです。いくら窓が大きくても出口がなければ風は抜けていきません。

また、地域によってその季節にどこから風が吹いてくるかも調べておく必要があります。気象庁のHPなどをみると誰でも確認することができますので、是非それも参考にしてください。

部屋の位置によっては、ダイレクトに風を受ける位置に窓を配置できないケースもありますが、その場合でも、「滑り出し窓」と呼ばれる窓を使って、風を受ける機能(ウィンドキャッチャー)を持たすことも可能です。そういう種類の窓も上手に活用して、部屋の中に風が通り抜ける設計が可能となります。

また、日差しの時と同様に、吹き抜けを上手に利用すると、1階のリビングから入ってきた風を2階の窓から抜けさせるということも可能です。1階に風が抜ける窓がどうしても取れない場合は、このように吹き抜けを上手に利用することもポイントの一つです。

自然の力を取り入れた快適な暮らし

このように、「太陽の日差し」「風」のような自然の力を家の暮らしにどう生かしていくかは、設計する際に決まってしまいます。皆さんが設計の打ち合わせを住宅会社とする際には、そのような点も注意しながら進めていくと良いでしょう。

エアサイクルの家は、元来、外の空気を夏と冬でバランスよく家に取り入れることで、快適な暮らしと耐久性を向上させるという考え方なので、この「パッシブデザイン」とはとても相性の良い家づくりです。

エアサイクルの家に取り組んでいる工務店も、この「パッシブデザイン」を考慮して設計を提案している会社ばかりです。

自然の力を最大に活用して、一年中快適な家づくりを実現していただくために、是非、このような「パッシブデザイン」の考え方をご参考にしてください。

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