建築の工法について知っておくべきこと

2021.04.30 fri

建築の工法にはどのようなものがある?

具体的に家づくりを進めていく中では、建築に関する専門的な知識を少しずつでも深めていくことが、自分たちの価値観に合った後悔しない家づくりに確実につながります。

建築の専門的な知識というと、一見難しく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、とても重要なことでありますので、ここでは、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

まずは、建築の工法について解説します。

日本で住宅を建てようとする場合には、いくつかの工法が存在します。そして、それぞれ、「木」「鉄」「コンクリート」という、建築に使用する主要素材によって分類されます。

これらは、それぞれ独自の特徴があります。その長所・短所等をある程度認識したうえで、自分たちの家づくりにどれが適しているのかを、一度しっかりと検討することをお勧めします。

① 在来軸組工法

これは、日本では長い歴史があり、最も多く建てられている工法です。「木」の文化を持つ日本だからこそ発展してきた、日本の風土に適した工法と言えると思います。

構造としては、「柱」と「梁」を組み合わせて、そこに耐震性を向上させるための「筋交い」や「構造用面材」と呼ばれる耐力壁を組み込みながら構造を構成する工法です。

長所としては、なんと言っても主要となる素材が「木」なので、全体的に住み心地が良いというところが大きいと思います。肌触りが良く、調湿作用を持つ木材を使う住まいにすることは、欧米に比べて湿度の高い日本ならではの手法だと思います。

また、木材自体の加工がしやすいので、設計の自由度が高く、将来のリフォームなども対応がしやすいという点も大きなメリットとして挙げられます。

一方、短所としては、その耐久性や耐震性などが、建築をする工務店によって違いが出てしまうということです。

まず、木はとても優れた素材なのですが、腐朽菌(腐り)やシロアリに弱いという欠点があります。よって、その耐久性について不安を持つ方も多いかもしれません。

しかし、日本各地には数百年前から建っている建築物は数多いですし、法隆寺のように1400年以上の歴史のある建物もあります。つまり、腐朽菌やシロアリから守ることさえできれば、かなりの耐久性を期待できる素材でもあるのです。それが建築の方法によって、差が出てしまうということが問題です。つまり、建築する会社の施工法の問題なのです。

特に近年は、昔の家と比べて気密性や断熱性が向上したので、湿気が建物に籠ってしまう可能性が高くなりました。それについての対策は建築をする会社によって様々なのです。

みなさんも木造で建てることを検討する際には、その住宅会社に対して、「腐朽菌やシロアリ対策はどのようにしているか」をしっかり質問して確認してほしいと思います。

また、耐震性については、どのレベルまで耐震性を考えているかということが大事です。日本の建築物は全て「建築基準法」という法律が基準となっていますが、現在は「耐震等級」という分類がありますので、これも住宅会社に聞いてみると良いと思います。

また、「木」ということで、火災について不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、柱や梁のような太い部材は、表面が炭化するとそれ以上燃えにくいという特徴があり、更に、外壁材や内壁材に不燃材を使用することで、燃えにくい建物になるのでそれほど心配はいらないと思います。

② 2×4(ツーバイフォー)工法

元々は北米で使われていた工法です。貿易摩擦の対策として「2×4材」という外材をアメリカから日本に輸入推進するときに」、同時に推奨されて広まった工法です。

「2×4材」という2インチ×4インチ(3.8cm ×8.9cm)のサイズの枠に合板を釘で張り付けて壁としながら構成されます。在来軸組み工法の柱に使用する10.5㎝×10.5㎝以上の材とは異なり、2×4材自体は構造的に弱いのですが、合板を貼ることによって建物がモノコック的に形成されることで強度が生まれ、建築物として成り立つという仕組みです。

長所は、工事自体は合板を張る作業がメインなので」、工期が早いということが上げられます。また。建物を合板で張り巡らせるので、気密性が高くなるという点もあります。

短所としては、逆に気密が良すぎるということで、木材の劣化が心配です。在来軸組み工法の時に述べたような、「腐朽菌やシロアリ対策」をどこまでしっかりできているかという点は重要です。もともと湿度の低い北米で生まれた工法なので、高温多湿の日本において、耐久性の向上がどこまでできているかがポイントです。

また、2×4工法は柱や梁で持たせるのではなく、壁だけで家を持たせるので、設計する際の間取りの自由度が低く、将来のリフォームがしにくいということも短所として挙げられます。

③ ログハウス工法

別荘などではよく見かける工法です。別名「丸太小屋」と呼ばれる家です。

最近は通常の住宅でも建てる方もいらっしゃるようですが、まだまだ一般的にはなりにくい工法です。

丸太を組み上げて家ができるので、その雰囲気やデザインを好む方には良いかと思います。しかし、自然の丸太をそのまま使うので、完成後に木が沈んだり乾燥することで隙間ができたりという短所は否めません。また基本的に断熱材を入れることをしないので、断熱性能は劣ります。

それらの短所も、「ログハウスの味わい」と前向きに受け止めたうえで選択するなら、それもアリかもしれません。

④ 軽量鉄骨造

一言で「鉄骨造」といっても、その主要部材によって「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」がありますので、しっかりと分けて考えてください。

「軽量鉄骨」とは一般的に厚さが3mm~4mm程度の鉄骨材のことで、これをCの字に曲げた鋼材を主に建物を構成します。これにブレスという在来軸組み工法での「筋交い」のような部材を併用して耐震性を向上させる工法が「軽量鉄骨造」です。

大手ハウスメーカーの中でも、工場で建物の大部分を造って現地で組み立てる「プレハブ」の家を建てる際に多く使われています。

長所としては、「鉄」の強度による耐震性の安心感が最も大きいと思います。その部材の品質も工業化製品という信頼性もあります。しかも「鉄」は「木」と違って腐朽菌やシロアリの心配はありません。

加えて、プレハブの家であれば、工期が短いというメリットも大きいですね。

短所としては、主要部材が鉄なので、住み心地という点では木にはかなわないと思います。鉄は熱を伝えやすく、調整作用はない素材なので、そこをどうカバーするかはそれぞれ住宅会社の考え方を確認すべきでしょう。

更に、「鉄」は錆にも弱いので、沿岸部などでは慎重にならざるを得ないようです。

また、鋼材はどうしても工業化製品なので、その場で取り付けや加工が難しいという点や、サイズが決まってしまっているという点で、設計の自由度が低いという点や将来のリフォームがやりにくい=コストがかかるという部分も短所と言えるでしょう。

④ 重量鉄骨造

「重量鉄骨」という厚さ6mm以上の構造を主に使う工法です。

大きな空間が取れ、4階建て以上も安易に建てられるという長所があります。

一方ではコストが高額になるという短所が大きく、2階建て以下の一般的な住宅ではあまり使われてはいません。重量鉄骨の部材が非常に重いので、上部構造だけでなく、基礎工事についてもコストが高額になってしまいます。

ただ、4階建てや店舗や大きなガレージのように、大空間を必要とする場合は選択の一つになるかもしれません。

⑥ 鉄筋コンクリート造 ・ ⑦ 鉄骨鉄筋コンクリート造

両方とも、重量鉄骨同様に、一般の住宅ではなく、マンションやビルなどのような高層で大規模な建築物で使用される工法です。

まれに、その「コンクリート打ち放し」のテイストを好む方が住宅で採用することはあるようですが、やはりコストがかなり高額になるのが短所だと思います。

耐震性や耐久性は高く、大きな空間も設計可能なので、ご予算を多くかけてもそのような住宅をご希望される方は検討しても良いと思います。

自分たちのニーズやこだわりにあった工法は?

以上の特徴を踏まえて、みなさんがそれぞれ自分たちのニーズやこだわりにあった工法を検討されると良いでしょう。

それぞれ、工法としての長所や短所がありますが、その工法の長所を生かし、短所をどこまでカバーしているかをしっかり把握することが大事だと思います。それはその住宅会社によって大きく異なるのが実情なのです。

特に日本で最も多い工法である「在来軸組み工法」は、扱う会社が非常に多いので、どこの会社を選択するかをしっかりと見て聞いて確認してほしいです。

特に、木材の短所である「腐朽菌やシロアリ」について、どこまでを建築の技術として対策しているかを見極めることが重要なポイントになると思います。

ちなみに「エアサイクルの家」は、「在来軸組み工法」において、この木材の劣化を「エアサイクル工法」という建築の技術そのものでカバーする工法でもあります。住み心地を向上させながら耐久性の高い家づくりをお望みの方には、今後の家づくりにおいてご参考いただければ幸いです。

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